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何と言うことは無い一日。何と言うことは無い日常。
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フリーライターであり、行きがかり上とは言え、アンティーク・ショップを営む事になった主人公(日本人)。
彼女+1が、勉強かつ買い入れに赴いた現代の英国で、アンティークに纏わる様々な事件に巻き込まれ、かつ自力で窮地を脱出し、出会った人々(それ以外も)と繰り広げる、ドラマを中心とした連作集。

と、短く紹介すれば、そんな所。

各章は、アンティークの名称が、タイトルに冠せられ、内容もアンティークに関する物。
まだまだ、隔靴掻痒。

とは言え、先入観どころか難しい知識など要らぬ、ライトノベルを読む積りで、するする読める方の凝らぬ短編集と言っても良い。のだが。これだけで、並々ならぬ作者の実力を感じさせる。
表紙を担当している東逸子は、好きな画家であり、内容に、若干の少女マンガを期待していたのだが、事実上の第一話である所の、『マーメイド・レース』で、まず、ぶっ飛んだ。
キャラが秀逸。いや、私がこういう男の方を愛好しているわけでは無いのだが、最近、あちらこちらでぶち当たる。何かの予兆か。そんな訳は無い。

あちらこちらに、英国の童話や民話を読んでいれば、にやりとする事請け合いのエピソードをちりばめており、また、読者も一緒にかの地を旅しているかのように思える、美しい風景描写も良い。

何か面白い本をと言われれば、薦めるにやぶさかでは無い。

     
                        “KKベストセラーズ”刊    2002年初版

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