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何と言うことは無い一日。何と言うことは無い日常。
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生まれて初めてのお家を訪ねるのだ。
『緊張するな』
と、言う方が無理だ。

大体、やっぱり、落ち葉を踏み踏み、俊朗は、考えるのだ。
何故、こんな事になってしまったのだろう。
澄んだ青空の下、落葉松の木々が、両側に続く、一本の細い道。
其処は、緩い上り坂になっていて、
これから、向かう場所が、徐々に、顔を覗かせるようになっている。
もう、見えて来ている、白亜の建物、あれが、そうだろう。
俊朗は楽しみだった。
館には、どんな人が住んでいるのだろう。
どんな風に出迎えてくれるのだろうか、彼を。

「まさか、用件も聞かないで、目の前で家の扉を、バタン、とか、閉めてしまわないよね。」
俊朗は独りごちた。
この間、そんな場面を、彼はテレビで見た。
まさしく、バタン、だった。表情も変えないで、その、大きな古い屋敷の住人は言うのだ。
『お帰りなさい。』
って。
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13NOV-06.JPG長い時間を越えて来た。

太陽の旅は今、終わる。

明日と今日の、あなたは違うのか。

今日と昨日の、それのように。

けれど、あなたは誇らしく、

胸を張って、地平に落ちる。

いつか、あなたの様に生きて行けと、

千回万回、祈り、願いながら、

私と言う小鳥は、巣穴の中で、目を閉じる。
080614_sky1.JPG

あの子は、
飛行機雲を追いかけて行ったよ。
どうして。なんて、聞いちゃいけない。
ただ、追いかけて行ったのさ。本当に。
足が速いね。飛行機雲は。
もう、行っちゃったよ。


燃料は何だろうね?飛行機のさ。
エンジンは、何型って言うんだろうね。
飛行機のだってば。
あの子の好きな花は、何だって?
帰って来たら、本人に聞きなよ。


ラークスパーって、花が、在ったよねえ。
綺麗な青い花さ。風が吹いたら、揺れるのさ。
でもねえ。
入道雲と、五色の雲にはかないやしない。
泣かないどくれよ。
あの子に何か有ったみたいじゃないか。


追いかけるのに、飽きはしない。
追いかけ続けるのに、決して、疲れきりなぞはしない。
何せ相手は、


飛行機雲じゃないか。 


いい天気だよねえ。
本当にさ・・・・・。 


ラークスパーの、うん、花だよ。
日本語名、思い出したよ。
”飛燕草”って、云うのさ。
こんな日はきっと、洗濯物が良く乾くよ。
真上から見たら、大空を飛ぶ者達から見たら、
沢山の、それは沢山の、白い旗が翻って見えるってさ。
あの子かい?飛行機雲が、大好きだったよ。
子供の頃から、ずっと、ね。ずっと、さ・・・・。


さあてね。あの雲が、もうちょい、頭の真上に来たら、
夕飯の用意をやりに、行こうかね。
それまで、もう少し、この、揺り椅子で、こうして、空を、
見上げていることに、しようよ。
08330_mag1.JPG

花の便りはいつも、夜中に届く。

胸を轟かせる、夢の後。


目覚めれば、何よりも雄弁な、
どんな手紙よりも長い、

季節の落し文。

気が付けば、ちょっとした大騒ぎの真っ只中。

誰が書いたのか、一体いつ?


青空が証人だと、雲が、ウィンクした。
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