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何と言うことは無い一日。何と言うことは無い日常。
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生まれて初めてのお家を訪ねるのだ。
『緊張するな』
と、言う方が無理だ。

大体、やっぱり、落ち葉を踏み踏み、俊朗は、考えるのだ。
何故、こんな事になってしまったのだろう。
澄んだ青空の下、落葉松の木々が、両側に続く、一本の細い道。
其処は、緩い上り坂になっていて、
これから、向かう場所が、徐々に、顔を覗かせるようになっている。
もう、見えて来ている、白亜の建物、あれが、そうだろう。
俊朗は楽しみだった。
館には、どんな人が住んでいるのだろう。
どんな風に出迎えてくれるのだろうか、彼を。

「まさか、用件も聞かないで、目の前で家の扉を、バタン、とか、閉めてしまわないよね。」
俊朗は独りごちた。
この間、そんな場面を、彼はテレビで見た。
まさしく、バタン、だった。表情も変えないで、その、大きな古い屋敷の住人は言うのだ。
『お帰りなさい。』
って。
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